2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧
「始祖鳥が始祖」ではない? 鳥類は爬虫類から進化した。その仮説の起源は、1861年の始祖鳥(アーケオプテリクス)の化石の発見である。1859年にダーウィンの『種の起源』が出版されたばかりだったので、始祖鳥は特別な取り扱われ方をされ、現在も日本の中学…
脳はコンピュータを凌ぐ速さで複雑な問題が解けるため、いつかコンピュータが人間の知能を超えるようになるか という命題はサイエンス・フィクションでおなじみのテーマとなっている。しかし、人間のもつもうひとつのコンピュータ—DNA—が新たなライバルとな…
科学は文化である 講演会に参加した。展示会やエキスポ、ワークショップなど、科学コミュニケーションの形式は数あれど、講演会は科学の持つ良質な文化性を肌で感じることのできる最短のイベントである。 数時間わからない話を聞いてから外に出て、夕暮れの…
最近記事のおさらい 睡眠の記事と電極の記事でおわかりのように、ニューロンのON/OFFがニューロン的にどういう状態なのかはわかりつつあるようですが、そのとき意識がどんなことをしているかは謎のままです。 ONのニューロンは覚醒中で、NMDA受容体が増えて…
能力が上がる方法 Nature 472, 156-158 (2011)に興味深い記事が載っている。脳のある部位に電極を貼り、弱い電流を15分から20分流すと、作業記憶や言語連想、複雑な問題を解く能力が上がるという。それも、数時間から数ヶ月続くという。 使うのはDIYで作れる…
眠れないときに考えたこと 以前、眠れない夜に夢について調べていて思ったことがある。寝ているときに脳の一部が活動しているなら、起きているときも、脳の一部は寝ているのではないか。というのは、授業中眠くて仕方ないとき、意識は覚醒しているとしても、…
隠れていた魔法 iPS細胞(iPSC)作製のために使われる転写因子のセットは、ひと通りだけではない。2006年の山中論文で使用された4つの転写因子のセットはOSKM(Oct3/4, Sox2, Klf4, Myc)と呼ばれ、現在のところ最もよく使われている。今回Nature 474, 225-…
8割のマウスにフラれる iPS細胞(英語表記はiPSC)は、被移植者の体細胞に山中因子を導入して作製するため、ES細胞に比べて移植したときに免疫拒絶が起きにくいと考えられてきた。しかし、Nature 474, 212-215 (2011)は、2通りの方法で作製したiPSCをマウ…
今回から3回にわたってiPS細胞を特集します。2006年の山中論文(Cell 126, 663-676 (2006))で候補遺伝子を24個に絞った方法、iPS細胞をマウスに移植したら免疫的に拒絶されたという論文(Nature 474, 212-215 (2011))、そしてがん化のおそれがある山中因…