軌路力学 第3章 第2節 こころのお供に

ストレスとスポーツ

 ストレスは、仕事量と運動量の積である。たくさん頭と身体を使って仕事した、熱量と運動量の積である。ストレスがかかると、熱量を消費するためやせる。しかし、かかりすぎても困る。ストレスは緊張感と力の積でもあるためだ。緊張感が強いとたくさん運動しないと張り裂けそうになるし、力が有り余っていると運動せずにはおれなくなる。次の式がある。
 
 ストレスSは仕事Wと運動量pの積であり、力Fと緊張Tの積でもある。しかし、そもそも緊張は距離rと運動量pの積であり、仕事は力と距離の積である。距離が大きいと緊張は強まるけれども、運動を始めてしまえば下がる。二人が近くでじっとしているとき、緊張はほぼゼロだ。二人三脚のように、集団でスポーツするとき、距離が小さくても運動量が大きいチームは緊張が大きい。緊張が大きければたくさん運動してしまう。力を出し惜しみしていると緊張が大きくなる。メンバーが近距離で力を発揮すると緊張が下がり莫大な熱量を生む。

情報力

 情報にも力がある。次の式をみる。
 
 力Fは情報Iの関数である。また、持続時間Lは緊張Tの関数である。緊張が続けば力も持続する。また、情報にことばの力が多くこもっているほど、その情報は持続する。そして、力や持続時間は波数kを圧力Pで割ったものである。圧力を多く受けているほど、力は出しにくいし、持続時間が短く情報の効果が少ない。波数が大きいほど、つまり声の調子が高かったり、つやのある声であったり、異なる周波数の音が同時に同じ情報を放送していたりする時、情報の力は持続し、緊張の持続時間も長い。緊張が長いということは、たくさん運動してしまうため、力を与えたことになる。ことばの力である。
 圧力をかけられると、力が出しにくいし、緊張が緩んでしまう。これはよくないことだろうか。時には圧力を感じていないと、常に緊張を強いられ、多くのストレスを毎日生産することになる。スポーツ選手やエネルギッシュな頭脳労働者なら、圧力を取り除く術を知ることは理想的なスキルである。オフの時は圧力をかけ続けて緊張を緩め、省エネ生活を満喫するのも身体のためである。

癒し系の秘密

 このように、情報の力を最大化するには、緊張を増し、圧力を下げる情報がもっともよい。そのような情報に接すると、身体が動きださずにはおれなくなる。リラックスするには、逆に力が弱い情報を取り入れ、緊張を下げ、圧力を増すのがよい。難しい本、興味のない情報を読み、きちんと理解して読めないといけない、と圧力をかけると、リラックスした状態で情報を取り入れることができる。
 本や勉強に関するプレッシャーを多く感じるほどリラックスできる。癒してくれる人の話し声は、波数が小さく、情報量が小さくないだろうか。誰でも知っていることを高い声で話されるとき、人は癒される。すると、緊張が解れ、癒しの効果が倍増する。近くでじっと話を聞いていたい人である。
 このように、心理の方程式を使ってストレスを解消するすべを模索してみると、職場でも休日にもストレス社会を改善する案が出てくるかもしれない。