軌路力学 第2章 第1節 穏やかな理由

質量と重さのちがい

 歪んでいるとはどういうことかを考えるために、4次元とは時間だろうかと考えてみる。
 人間でも宇宙でも同じだが、体重が大きい物体ほど時間が遅い。微分幾何学では、質量の大きい物体があると近傍で時空が曲がる。質量は時間を4つ目の媒介変数と見たときの概念であるが、重さは時間によって伸縮する概念である。
 体重が大きい人は時間の長さが長く感じる。これは体積が大きいほどそうだし、また、運動するほどそうだ。ふっくらした体型の人が穏やかな性格であるのは、時間の流れをゆっくり感じているからだ。また、脳や四肢を激しく使う人は、運動するほど時間を長く感じるため、穏やかな性格になる。やせ型の人でも運動すると穏やかになれるし、太めのハードワーカーは穏やかだ。

若い星の軽さ

 大きい質量の恒星が充分な年齢をとっている場合、時間の長さが短く遅いから、重さも大きい。しかし、若い星は生まれてからの時間の長さがまだ短いので、重さが小さい。月が地球上の6分の1の重力であるのは、存在時間がまだ短いためだ。
 
 左辺の「t」は存在時間を表し、単位は長さだ。右辺の「π」の単位は時間だ。重さがわかれば誕生してからの年齢もわかる。また、恒等式なので、誕生してからの年齢がわかれば重さもわかる。
 重さがごく小さいスケールで弱い力であるのは、地球の時刻でのことである。別の長寿の星では、地球より重さが大きい。それはその恒星が巨大な質量をもっており、近傍で時空が曲がるためであるが、巨大であるゆえに育ちにたいそうな時間をかけているので、重力が地球より強い。質量は時空を歪めるが、重力は存在時間に比例して大きくなる。

時間の内実

 存在時間を軌路という。軌路は長さの次元をもつ、光年のような考え方の物理量だ。上式は、時間面の2乗が重力を受けると、距離4乗体がある時間存在していることと同じこと、という意味だ。存在時間は距離乗体にとって圧力や応力のような働きをする。静止している物体はない。存在時間は長さを持つ実体を運動させる。これは裏を返せば、重力とそれを受ける面の関係と同じことだ。軌路は距離乗体のうち重力がかかる部分の割合ということもできる。