たかはし博士による生活科学レポート

髙橋数理研究所 公式部録

日曜経済学 #9 常識増加則

 前回は、ものや知識を増やすには、起こらないことを知っておくことと、あたりまえを広げておくことが重要である、と述べました。今回は、あたりまえを広げること、および、あたりまえを広げるコツをお伝えします。
 みなさんは、あたりまえは個人のものだと思うでしょうか、あるいは、世間のものだと考えるでしょうか。世間のあたりまえは、過去の世間に生きた人たちのあたりまえが凝縮したものだと考えると、どのようにして、あたりまえは凝縮したのでしょうか。おそらく、人生の中には「新しいあたりまえ」に出会したことが、一度や二度はあると思います。すなわち、自分一人のあたりまえでは考えもつかなかったようなあたりまえが、世の中にはあるでしょう。このように、あたりまえと出会うとき、自分のあたりまえと新しいあたりまえを比べることと思います。ここが分水嶺です。
 自分のあたりまえの方が、新しいあたりまえより大きいと思うと、あたりまえは広がらないのであります。反対に、新しいあたりまえの方が、自分のあたりまえより大きいと思うと、あたりまえはいつまでも広がっていきます。あたりまえにはこのような性質があり、数式にすると以下のようになっているでしょう。

K_o+K_s > K_o > K_o-K_s > K_s > 0

 新しいあたりまえ K_o は、自分のあたりまえ K_s よりも大きいと考えると、より多くのあたりまえに触れるほど、あたりまえを増やすことができます。これには限りがありません。自然は最大のあたりまえを持っており、人類は自然よりも多くのあたりまえを引き出せていません。逆に、自分のあたりまえ K_s の方が、新しいあたりまえ K_o よりも大きいと思っていると、このようになります。

K_s-K_o > -K_o

 つまり、自分よりも知っている人はいない、と裸の王様になってしまいます。歴史上にも同時代にも、世界にも自然にも、社会にも街にも、自分より優れた人はいない、と考えているのと同じこと、これでは知識は少しも得られません。反対に、自分には常識が無いと思う人ほど、人からは常識を多く持っていると見えるものです。というのも、K_o-K_s > K_s を変形すると、

\dfrac{K_o}{2}>K_s

すなわち、「自分は人の半分も知らない」。知識を増やし続けられる人は、いつもこう思っているものなのです。

 どのあたりまえが、学ぶべきあたりまえか、判断する基準は簡単で、差分 K_o-K_s が大きい常識ほど、学ぶことは多いのです。反対に、この差分が小さい常識は、簡単な情報でしかありません。私の経験則でもありますが、自然の常識 K_N は、常に私の常識よりも大きい。

K_N>K_s

 自然とは、人の様子や社会の様子、人工物の構造や機能、政治や経済の成り行きまでも、もちろん含みます。たとえ、万一、私が世の中の全員より知識に通じようとも、私にとって K_N>K_s は恒真であります。
 珍しさは、起こらないことの知識と、あたりまえの大きさの和でしたよね。すなわち、\dfrac{K_o}{2}>K_s であると考えて、あたりまえを多く増やしていくことで、起こらないこともわかってくるので、起こりそうなところに効果的に投資できるのです。このように、あたりまえを増やすことで、珍しさが増えるので、ものや知識も貯まるのです。

 今回は、活動を増やすことで、ものや知識が貯まることをお伝えしました。次回は、ものや知識が貯まる、すなわち、活用が増えるための2つの条件について考えます。